2010年05月11日

【視聴率リテラシー】無意味な!? 視聴率ランキング

【視聴率リテラシー】無意味な!? 視聴率ランキング (GALAC 2010年6月号掲載) 2010年5月11日(火)配信

文=リサーチ評論家 藤平芳紀

視聴率が1位ならトップか?
4月がスタートした。業界関係者ならずとも、“視聴率がトップの番組は何か?”など、ランキングが気になるところだ。しかし果たしてランキングが1位の番組は、“視聴率が「トップ」だった”といえるのだろうか? 視聴率ランキング表を例に、トップの番組は、その他の番組よりも、本当に視聴率が高い(=他の番組に比べ、統計的に有意な差がある)といえるかどうか、「有意差の検定」という統計手法を用いて調べてみた。

「検定」の結果は?
「有意」とは、統計用語で“統計的に「差」がある”ということである。もったいぶった言い方だが、AとB、2つの番組の視聴率の違い(=差)から、果たして番組AはBより視聴率が高いと統計的にいえるかどうかを判断しようということである。

ちなみに3月29日〜4月4日の視聴率ランキングは、表のとおりであった。

それではこの週の視聴率がトップだった「笑点」(22.4%)と第10位の「サンデーモーニング」(15.7%)の2つの番組について、「笑点」が「サンモニ」よりも視聴率が高いといえるかどうか、両番組の視聴率を検定の公式に当てはめ、有意差の有無を調べてみよう。計算の結果は左辺が6.7で右辺は4.5で、左辺>右辺となったから、“両番組の間には統計的に「有意な差」がある”ことがわかった。つまりランク・トップの「笑点」と10位の「サンモニ」は、統計的にみて“笑点のほうが視聴率が高い”といえたわけである。では10位の「サンモニ」と20位の「NHK歌謡コンサートほか」(14.0%)とではどうだろう? 結果は左辺1.7、右辺4.1となり、左辺<右辺だから両番組の間に“視聴率の差はない”結果となった

止めちゃえ!ランキング表示
もうことさら申し上げる必要もないだろう。視聴率ランキングの1位の番組と10位の番組とでは1位の番組のほうが視聴率は高いといえたが、10位の番組と20位までの番組とでは視聴率に統計的に有意な「差」はなかったのである。詳しく計算すると、4位と20位然りである。となるとランキング20位を列挙して、その序列を示したところで、統計的には大して意味のないことがおわかりだろう。ならばどうするか?

1つはサンプル数を増やして測定精度を上げることである。それが叶わぬとなれば、今、考えられるもっとも妥当な表示方法は、もっとも視聴率が高かった番組Aは、「以下の番組群より“高い”」、次に視聴率の高かった番組Bは、「これこれの番組群よりも視聴率が“高い”」といった表示の仕方に変えることだろう。ザックリいうなら、視聴率が4%以内の違いの中にある番組なら、そのほとんどが視聴率的には“差がない”ということである。

この記述が視聴率を正しく見つめ、読み取ることの一助となって、無用な視聴率競争の歯止めとなることを願っている。

ふじひら・よしのり 1941年生まれ。著書に「視聴率96・97・98」(大空社)、「視聴率の謎にせまる」(ニュートンプレス社)、「視聴率の正しい使い方」(朝日新書)などがある。



posted by ぴかまま at 15:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 視聴率
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